著者
久留島 元 クルシマ ハジメ Kurushima Hajime
巻号頁・発行日
2014-03-31

本稿では平安中期から室町期にかけて、『今昔物語集』『五常内義抄』『古今著聞集』『是害房絵』などに見える「天狗説話」をとりあげて考察した。「天狗説話」は、作品、時代、環境など、各々の文脈に応じて変化し、媒体を超えてひろく展開する。そして「魔仏一如」のような仏教的言説を介しながらも「天狗」そのものへの関心が深まり、謡曲、絵巻などの娯楽性の高い作品群へつながることを、個々の表現にもとづいて明らかにした。