著者
グエン・ティ・タイン・トゥイ
出版者
一橋大学国際教育センター
雑誌
一橋大学国際教育センター紀要 (ISSN:21856745)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.69-80, 2017-07-31

日本語オノマトペが日本語学習者にとって習得が難しいことは、多くの先行研究で指摘されている。世界言語にはオノマトペが豊富な言語とそうでない言語があるがベトナム語は後者である。オノマトペに日常的に触れているベトナム語母語話者はオノマトペに対する馴染みがあり、日本語オノマトペの習得に強みを有すると予想される。しかし、本当に強みを有するのか、有するとしたらどのような点で強みを有するのかを明らかにするには、日本語オノマトペの習得方法や母語のオノマトペの使用状況の考察が必要である。本論文では、独自に制作したアニメーションを学習者に視聴させ、オノマトペの使用を誘出する特定の場面を日越両言語で描写してもらった。その上で、習得方法についてのアンケートも実施した。その結果、同じ場面において使用するオノマトペには日越両言語間に対応関係にある語が多く存在し、学習者はベトナム語訳で意味を覚えていることが判明し、その点で日本語オノマトペの習得に強みを有するという示唆を得た。