著者
小嶋 康生 コジマ コウセイ Kousei KOJIMA
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.93-116, 2000-07

冷戦「後」、世界はどう動いているか。超大国・アメリカは原理的な市場主義をてこに経済のクローバル化を進め、一極秩序の形成を目指している。しかし、それに対抗する形で形成されつつあるのが国際的な地域統合への動きである。EU(ヨーロッパ連合)の着実な進展が連鎖的な影響を与え始めている。この動きを30年代のブロック化とは質的変化を伴った「経済圏域」として捕らえ、世界経済一体化への歴史的ステップとする仮説を立てている。この仮説の上に東アジアの今後を長期的スパンで展望する。現状は「アジアは一つ、一つ」であり、地域経済圏域形成の動きは、この10年来あるにはあるが、実現の条件は今のところほとんど見当らない。超大国アメリカのアジア支配が、日米安保を機軸にして構築されているからである。そのような枠組みの中で「アジア共同体」の可能性と必要性はあるのか、どうか。あるとすればどのような形態となるか。日本を主語におき、21世紀の日本と日本を取り巻く東アジアとの関係を模索したもの。