著者
コヘン タガー アダ コヘン シラ マルカ Ada Cohen Taggar
出版者
同志社大学一神教学際研究センター
雑誌
一神教学際研究 = Journal of the interdisciplinary study of monotheistic religions : JISMOR (ISSN:18801080)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.43-62, 2019-03-31

古代近東において知恵は神々から人間に与えられた知識であった。それは人間が文明を築き、神々への奉仕を続けるために与えられたものであった。本稿は、アッカド語・ウガリト語・ヒッタイト語で書かれたメソポタミア・レバント・アナトリアの文書を考察し、知恵の概念が父から息子への教訓のように特定の形式を持った文書を通じて伝えられていたことを示す。続いて、知恵の思想と言葉がどのような形で聖書のテクストに織り込まれているのかについて明らかにする。本稿では、主に二つのアッカド語文書を扱い、それらの形式をヒッタイト語文書と比較する。両言語で書かれた文書の比較考察からは、それらの聖書の知恵文学との関係が理解されると共に、とりわけヒッタイト語文書の理解が深められる。