著者
サラザン・ロジェー
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.151-158, 1986-06-01

現在, フランスには, 人口370人に1人の割合で, 14万5千人の医師(一般医60.3%, 専門医39.7%)がいる. 医学を志すには, まず, 高校終了時にバカ口レア(大学人学資格試験)に合格することが必須である. 大学での医学教育は, 3段階に分かれる. 第1段階は2-3年間, 基礎科学(1,050時間)を学ぶ. カリキュラムは各大学で独自に組まれる. 1学年終了時に厳しい選抜試験があり, 約5分の1に限定される. 第II段階は4年間, 1年目は基礎医学, 残り3年間は臨床病理学と臨床実習(1年無給, 2年有給)に当てられる. 1982年に第II段階終了確認試験が設置され, 合格者は第III段階へ進み, 全員, 一般医レジデントとして認められる. 2年間従事して論文提出後, 一般医になる者, または, その期間内に, 専門医レジデント地方別選抜試験(1984年に設立. 同年の志願者8,800名, 合格者1,426名)を受けることにより, 専門分野の理論・実践期間(4-5年)を許され, 論文提出後, 専門医として開業する者と, レジデントチーフとしてさらに2年間従事し, 国家試,験により一般病院か大学病院の専門医になる者とに分かれる. 後者はごく少数である(フランス外務省科学使節として来日. 1984年11月14日, 産業医科大学教員研究会での講演からその内容を収録した.)