著者
サロインソン ファビオラ ベイビ 坂本 圭児 廣部 宗 三木 直子 吉川 賢
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.65-70, 2007-08-31

放棄され拡大しつつあるハチク(Phyllostachys nigra var. henonis)林を対象として,竹林の林内,落葉広葉樹林と接し拡大しつつある竹林の林縁,およびその中間部分に区分し,稈の空間分布を比較検討した。空間分布解析のために, L関数を用い,距離にともなうL関数の変化を検討した。同じコホートの稈で,タケノコから当年生稈,当年生稈から5年生の古い稈へと生育段階が進む過程で,空間分布の変化を検討したところ,竹林の林内では,タケノコと当年生稈で集中分布, 5年生稈ではランダム分布し,林縁や中間部分では,タケノコの段階から5年生の稈まで常にランダム分布を示した。したがって,竹林の林内では,タケノコが稈となって以降に密度依存的な枯死が生じ,拡大しつつある部分では,タケノコの段階からランダムに分布して密度依存的な枯死を避けているものと考えられた。
著者
サロインソン ファビオラ ベイビ 坂本 圭児 三木 直子 吉川 賢
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.15-20, 2006-08-31
参考文献数
15
被引用文献数
1 9

拡大しつつあるハチク林の動態を明らかにするため,落葉広葉樹二次林に隣接するハチク林で稈のセンサス調査を12年間継続した。落葉広葉樹二次林と接する部分では,稈の葉群が林冠木の樹冠より高い場合や樹冠と接する場合があり,ハチク林の拡大を可能としていると考えられる。ハチク林では,落葉広葉樹二次林へ稈を侵入させることによって,林分の稈密度と地上部バイオマスが増加し,最前線の稈の位置は落葉広葉樹二次林の方向へ12年間で7m距離を伸ばした。侵入している稈のサイズは,竹林内部の稈のサイズと異なっていなかった。一方,ハチク林拡大の過程で,ハチクによる被圧のため下層木の枯死が著しかった。