著者
篠原 卓 ハンプトン ジョン G. ヒル マリー J. ジュンタクル スナンタ スクプラカン スティヴィー サワンサパヤコーン チャイラーク
出版者
農業生産技術管理学会
雑誌
農業生産技術管理学会誌 (ISSN:13410156)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.148-155, 2008
参考文献数
27

結実期の環境条件は,種子活力に影響を与える要因の一つである.ニュージーランドでは,エンドウマメ(Pisum sativum L.)種子の出芽率は,発芽率に加えて2つの種子活力判定試験の結果(電気伝導法(EC)およびhollow heart (HH)発生率)を組み合わせて算出する.本研究では,まず,同国の5つの主要採種地域(Masterton, Blenheim, Christchurch, AshburtonおよびTimaru)において,過去4シーズン(2001-2, 2002-3, 2003-4および2004-5)に生産されたエンドウマメの中生品種の種子を収集し,その種子活力に地域間差やシーズン間差はあるか,気象条件は種子活力の高低に影響しているか検討した.採種した種子のECおよびHH発生率には,地域間およびシーズン間で変動した.そして,エンドウマメの種子活力は,2月の気温と有意な相関関係があり,同月の気温が高くなるほど活力が低下することが明らかとなった.次に,有意な相関関係から得られた単回帰直線を用い,過去12シーズンの気象データから,各採種地域で生産される種子活力を予測した.予測されたECとHH発生率は,5つの地域間で有意に異なった.これらのことから,ニュージーランドでは,採種地域を選ぶことで,活力の低いエンドウマメ種子を生産するリスクを下げることが可能であると考察された.