著者
サンパト プリヤンカラ 木下 和彦 戸出 英樹 村上 孝三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.350, pp.49-54, 2012-12-06

無線センサネットワーク(WSN)では消費電力の効率化によるネットワーク寿命の延長が重要な課題であり,効率的に遠距離通信を可能とするクラスタリング型プロトコルがよく用いられるが,全てのデータはシンクに向けて伝送されるため,シンク近辺では負荷が集中するという問題がある.また,最近では,少数の高性能ノードを導入することで,低コストで効率的にネットワークの寿命を延長する方式が注目されている.そこで本稿では,ノード性能の不均質なWSNにおいて,クラスタリングによるデータ集約と,シンク周辺での非クラスタリング型マルチホップ通信による負荷分散とを併用したハイブリッド型ルーティング方式を提案する.ここで,ノードの性能,ネットワークの範囲,シンクの位置を考慮し,クラスタリング型と非クラスタリング型の最適な境界を数学解析モデルによって近似的に導出し,さらにそれを動的に再最適化する方法を提案する.最後に,計算機シミュレーションによって提案方式の有効性を評価する.