著者
シン ユーチン
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の主要な成果は以下のとおりである。1. 1994年から2008年にかけての中国の全体的な貿易黒字は100%加工貿易によるものであり、中国とG7諸国及びその他の主要な貿易相手国との二国間貿易収支を決定するものである。2.人民元が上昇すると、中国の加工品輸出だけでなく、加工品輸入も減少する。人民元の上昇が中国の貿易収支にもたらす全体的な効果は限られている。さらに、人民元の上昇は、中国で生産された付加価値商品には影響をもたらすが、「中国製」商品に組み込まれたあらゆる付加価値に影響を与えるわけではない。3.人民元上昇のパススルーは不完全である。日本では、中国からの輸入品価格にパススルー効果は見受けられない。4.現在の貿易統計により、米中の二国間貿易不均衡は大幅に拡大している。中国の対米貿易黒字の大部分は、第三国から移ってきたものである。貿易統計の改革が求められる。