著者
ハンリー シャロン 櫻木 範明 伊藤 善也 今野 良 林 由梨 岸 玲子
出版者
日本赤十字北海道看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

子宮頸癌予防HPVワクチンの接種率向上の方策を検討する為、思春期女子を持つ母親を対象とする2つの調査を実施した。ワクチンが無料なら娘に接種させるとした母親が92%だった。接種の障壁は安全性に対する不安と母親の頸がん検診受診歴だった。医師の勧奨は意思決定に前向きな影響を与え、ワクチン効果を納得することもワクチン受容度に関連した。また、頸がん受診率の低い地域では、詳細な情報提供がワクチン受容度を高めることを示した。本研究の結果により、接種率向上の要因が明らかとなった。
著者
緒方 奈保子 車谷 典男 上田 哲生 西 智
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-31)

高齢者の眼科健診「藤原京EYEスタディ」を行い2868人(男性1513 人、平均年齢76.3±4.9)が受診した。年齢とともに視力が低下していたが、平均矯正視力はlogMAR0.048で、視力低下(logMAR>0.2)は6.6%であった。白内障術後は19.5%。認知機能検査MMSE平均は27.3±2.3、認知機能低下あり(23点以下)は5.7%で、年齢、視力低下、学歴と関連を認めた。加齢黄斑変性(AMD)患者66例における血漿PEDFは10.2±3.14μg/mlとコントロール群8.23±1.88μg/mlより高く(p<0.01)、PEDFがAMDの発症に関与している可能性が示唆された。
著者
小西 潤子 ロング ダニエル
出版者
沖縄県立芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28 (Released:2011-08-05)

本研究では、日本統治時代以降に日本語や日本の流行歌を参照して創作されたパラオの日本語(混じり)の歌(現地ジャンル名:デレベエシール。以下、パラオ日本語歌謡)を収集し、民族音楽学的・言語学的観点からその特徴を分析して、「パラオらしさ」を描き出した。また、パラオ日本語歌謡50曲を選びパラオ初の五線譜付歌詞集としてとりまとめるとともに、代表曲15曲のレコーディングとCD制作をし、現地に還元した。
著者
吉田 春夫 アンジェイ マチエフスキー マリア プシビルスカ
出版者
国立天文台
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

全エネルギーが負の時のケプラー運動の軌道は,初期値によらず周期軌道(楕円軌道)になる.この軌道が常に周期軌道になるという性質は,考える系が最大数の独立な第一積分を持つこと,つまり系の超可積分性の帰結である.本研究ではポテンシャル場での質点の運動がこのような超可積分性を持つための必要条件を,具体的なアルゴリズムの形で初めて与えた.本結果は科学研究費補助金によって可能となったポーランドの研究協力者との共同研究によって得られた.
著者
岡村 敬二 米井 勝一郎 鞆谷 純一
出版者
京都ノートルダム女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

本研究は、戦前期、外地に存在していた図書館や資料室において活動を展開した図書館員について、その履歴や職歴、活動の実績などを総合的に調査・研究しようとするものである。その目標に掲げたのは、これら図書館員の人名辞典的なデータベースを完成させることであった。それがこの3年間の研究により、この人名辞典の過半を完成させ、それを冊子体の科研報告書として刊行することができた。そしてこの研究により、戦前期外地の図書館・調査機関で活動した図書館員の全体像をおおむね明らかすることができた。さらに、かれらが、図書館員としての仕事とは別に活動を繰り広げた文学・美術・出版・演劇などの領域にあってもその活動実態が明確となり、それらの領域の研究に対しても文献的・書誌的な貢献ができるものと考えている。
著者
福山 豊
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995 (Released:1995-04-01)

小学校教員養成課程の理科実験のために,小中学校での理科教材の中から,授業と一緒に実験できる教材の開発を行った。また実際に,小学校課程の2年生に,小中学校の理科教材の中から,光と電気磁気の分野に関して,現象の意外性とリアリティを感じることのできる演示実験と実験工作などを織り込み,135分授業の5回の授業と実験の融合による実験授業を,1年間5つの学生グループに行ってみた。具体的な内容は,身の回りの物理現象として光の教材をとりあげ,直進,反射,屈折現象の実験教材を開発検討した。全反射を利用した光ファイバーによる光通信やグラスファイバーなど医療技術などの現代の社会に利用されているものの理解や,夕焼けや朝焼け,青い空,蜃気楼,虹,逃げ水などの自然現象などの理解,カメラ,メガネ,望遠鏡,顕微鏡などのレンズを使った光学機械の理解のために有用な実験教材の開発を行った。また,今日の電気に依存している我々の社会を理解するため,簡単なモーターや発電機,めんカップスピーカー,マイクロホンなど実験工作を織り混ぜた授業と実験の融合による実験授業を行った。また,中学校教員養成課程のための物理実験についても,電磁気の原理を実感をもって理解するための実験開発を行った。今回の研究から,初等・中等学校の教師になる学生への物理実験は,従来行われている科学者かエンジニヤを育成するための定量的測定を主とした実験をやらせるよりも,まず科学の基本法則を使って身の回りや自然の現象を納得させる実験を十分にやらせるほうが学生に物理の興味を持続させるために効果が上がることがわかった。
著者
八田 達夫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997 (Released:1997-04-01)

この研究の目的は、通勤の時間コスト、通勤混雑による疲労コストを別々に金銭換算することにある。まず、通勤電車の混雑度の増大が疲労度の増大をもたらすことを効用関数に組み入れたMills型の都市モデルを構築した。次に、この都市モデル全体を解き、家賃及び地価関数の理論式を誘導型として導出した。この理論式では、家賃が都心からの距離と混雑度との関数となっている。この理論式を用いて2つの実証研究を行った。第1に、家賃関数を中央線沿線住宅地のデータに当てはめて、家賃と距離と混雑度との関数を導き、それを基に効用関数の混雑度に関するパラメーターを推定した。その際、中央線各駅間で混雑度が異なっていることを利用した。パラメータの推定結果を用いて通勤混雑の疲労コストおよび時間コストを算出した。第2に、混雑率の異なる東京の複数の私鉄およびJR路線沿線の各駅から、都心に通勤する際に要する時間と疲労のコストを測定し、金銭換算した。各路線間の混雑率の違いが大きいために、中央線のみのデータを用いた場合よりも、各地点の家賃と混雑率の関係をうまく説明することができた。中央線のみのデータでは、決定係数が0.5段階であったのに対して、複数路線の場合、0.85と高い値を得ることが出来た。この分析を基に、時間と疲労に関する効用関数のパラメータを推定し、それを用いて通勤疲労度、および通勤時間の金銭換算を行った。例えば、新宿までの通勤時間が30分である向が丘遊園では、片道の疲労費用が376円で、時間費用が322円であることが明らかになった。論文は、学術雑誌に投稿中である。さらに、1999年度応用地域学会全国大会で発表し、2000年の日本経済学会春期大会で発表する予定である。
著者
金子 和雄 大山 陽介
出版者
四日市大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01 (Released:2010-08-23)

(a)2次元退化ガルニエ系および(b)4次元パンルヴェ型方程式における超越的特殊解の研究(a)G(9/2),G(5)及びG(14),G(23)に対し、対称解の存在を示し、線型モノドロミを計算した結果につき学会報告した(2010慶応大、名古屋大、2011-3早稲田大)。(b)藤、鈴木系の特異点における有理型解の分類及び線型モノドロミの計算、笹野系の特異点における有理型解の分類による藤、鈴木系との違い、藤、鈴木系および行列型パンルヴェの退化系NY{A4},IV{Mat}およびII{Mat}につき学会報告した(2011-9信州大,2012-3東京理科大,2012-9九州大,2013-9愛媛大)。
著者
森下 修次
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

佐渡市春日地区の祭礼「鬼太鼓」において地元の奏者と在米日系人IV世の演奏を録音し,ProTools によりIOI の計測を行った。その結果、付点音符(例えば〓など)に相当するリズムの比の値が地元の奏者は3.3:1、在米日系人は3.6:1 であった。このことは地元の奏者に比べて在米日系人が長い音符はより長く,短い音符はより短く演奏する傾向が示唆されるものと考えられる。また、同じ曲において日本語で歌われる場合と英語で歌われる場合はどのようにリズムが変化するのかを市販のCD を用いて分析した。その結果英語の方が長短を強めてうたう傾向があることが分かった。これは英語をはじめとした外国語は発音される音に長短が混合するシラブル構造だが、日本語はモーラ構造、すなわち母音と子音を一まとまりとする音が、等拍で発音されることによる影響が考えられる。
著者
湯地 晃一郎 中田 はる佳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28 (Released:2011-08-05)

日本のHPVワクチン公費助成施策は、諸外国と比べ短期間で決定された。政策決定過程に影響を与えた因子について、国内の新聞・ウェブページ報道記事から関連キーワードを抽出解析した。キーワードの出現数は2010年に2峰性のピークを認め、肯定的なキーワードは新聞記事に多く、ウェブページ掲載記事では少なかった。接種推進運動と肯定的報道記事が、公費助成施策に大きな影響を与えたことが示唆された。
著者
坂部 貢 角田 正史 高野 裕久 欅田 尚樹 立道 昌幸 松田 哲也
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2014-07-25)

「いわゆる化学物質過敏症」患者を対象として、化学物質曝露と身体症状出現の相関性の有無について、自律神経機能の変動を主としてリアルタイム測定した。また、本症の主症状である「嗅覚過敏」の病態解析について、脳科学的な解析を行った。1)総揮発性有機化合物(TVOC)変動と自律神経機能の変動は、統計学的に強く相関した。しかし、TVOCの変動と自覚症状については相関は認めなかった。2)脳科学的解析では、嗅覚刺激による前頭前野の活動が、本症では対照群に比して活発化していることがわかった。本症は、化学物質の毒性学的影響というよりも、「臭い刺激」が契機となる、心身相関を主体とした状態であることがわかった。
著者
森岡 隆 手島 和典 吉嶺 絵利 中谷 正 高橋 佑太 倉持 宗起 橋本 貴朗 林 信賢 中村 裕美子 中溝 朋美 高橋 智紀 若松 志保 楠山 美智子 成田 真理子 油田 望花 川口 仁美 安生 成美
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

源兼行ら11世紀半ばの3人の能書が分担揮毫した『古今和歌集』現存最古の写本である「高野切本古今集」について、巻五・巻八・巻二十の完本3巻を除く17巻を復元した。このうち巻一・巻二・巻三・巻九・巻十八・巻十九の6巻は零本・断簡が伝存するものの、他の11巻は伝存皆無だが、各々の書風で長巻に仕上げて展示公開するとともに、それらを図版収載した研究成果報告書を刊行した。なお巻五についても、後に切除された重複歌2首の各々の当初の位置を特定し、復元し得た。
著者
三木 英 三浦 太郎
出版者
英知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998 (Released:1998-04-01)

本研究が目指したところは、阪神大震災によって大きな被害を受けた地域社会が復興するにあたり、宗教が何らかの寄与を為し得たのかどうかを検証することであった。これまで得られた知見を以下に述べるなら、リジッドな組織を伴う神道、仏教、キリスト教、新宗教が地域社会の復興に貢献することはかなり難しいということがまず挙げられよう。教団は基本的には、そこに所属する信者の方角を向いていたのであり、地域社会全体にその翼を広げることはしなかった(できなかった)のである。たとえば天理教では被災後、活動を地域社会において展開しようとして壁に突き当たったという事実を、本研究は突き止めている。教団へのアレルギーが確かに被災者の間には存在したのである。とはいえ、宗教そのものが完全に被災者によって拒絶されたというわけではない。犠牲者の慰霊を宗教的な儀礼によって行うことは、多くの被災者が求めたところであった。また本研究は、被災地において巡礼が創出されたことを指摘しているが、このことは被災者が自らの心のケアに供するべく宗教的な装置を利用したことを示すものである。さらに本研究では子供達の他界観にも注目をしているが、彼らは、自身にとっては遠い概念であった死に対処するため、他界に言及して心の平穏を取り戻そうとしたようなのである。被災者は、組織という外殻を纏う限りの宗教に対してはネガティブであったといわざるをえない。しかし、外殻を意識させない拡散したかたちの宗教に対してはポジティブな姿勢を見せたといえるだろう。危機的状況に在る社会で、そのダメージからの回復に寄与する可能性を宗教が有することは確かである。ただしそれは、組織的・制度的宗教ではなく、非教団的な宗教であることが本研究から判明したのである。
著者
難波 美帆 林 衛
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-31)

本研究では、東日本大震災及び原発事故における「専門家・科学者と市民の信頼感の崩壊」という問題意識を元に、サイエンスメディアセンターでの研究成果を踏まえ、震災以降のクライシス時にどのような科学情報の提供が行われたかを明らかにした。また原発事故後一ヶ月程度の緊急時を経過したのち、被災地への帰還やエネルギー選択の決定のために、どのような科学情報提供のためのチャンネルが活用されているかを調査した。緊急時はtwitterのようなITを使ったソーシャルメディアが情報の拡散に大きな役割を果たした。一方、多様な情報提供のチャンネルが求められていることが明らかになってきた。
著者
七條 和子 中島 正洋 高辻 俊宏
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-08-05)

原爆被爆者について放射性物質が体内に取り込まれたという証拠はない。放射性物質の経口摂取や吸入は発がんリスクの増加に深く関わっている。1945年死亡した長崎原爆被爆者の保存試料に長崎原子爆弾の原料プルトニウムが存在し、70年経った今もなお被爆者の細胞からアルファ放射線を出し続けている画像を撮影した。原爆被爆者の肺、肝臓、骨等のパラフィン標本からは239、240Pu特有のアルファ飛跡パターンが得られ、内部被曝の放射線量は対照群に比べ高く、被爆時の遮蔽と死亡日に関与していた。我々の結果は原子爆弾による内部被曝の科学的証拠を世界に提示し、被爆者の内部被曝の影響を病理学的に研究するひとつの橋頭保となる。
著者
池田 譲
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004 (Released:2004-04-01)

鏡に映る自分を認識する能力である「自己認識」は、ヒトを含む一部の大型類人猿とバンドウイルカにのみ認められる高度な知性であり、発達した社会性を背景に進化を通じて獲得されたと考えられている。本研究は、イカ類が発達した神経・感覚系および無脊椎動物最大の脳を有し、かつ、高度な記憶・学習能、発達した社会性をもつことに着目し、イカ類が自己認識を有しているとの発想にたち、水産重要種であるアオリイカを対象に、自己認識と社会性の発達に関わる以下の研究を行った。初めに、自己認識検知のためマークテストを試みた。その結果、アオリイカは視認不能部位にマークが付けられると鏡の前で静止するという行動を示した。次に、アオリイカを隔離飼育し、隔離個体に鏡を提示して自己鏡像に対する行動を観察した。隔離個体は鏡面に対して一定の距離をフリーズする、または鏡に張り付くといった通常では見られない行動を表出した。これらの実験から、本種には自己認識の萌芽があり、それは同種他個体の存在という社会的要因に可逆的に影響を受けることが示唆された。次に、アオリイカ卵を育成し孵化個体を得、孵化後間もなくから孵化後約120日までの個体について、自己鏡映像へのタッチ行動発現の過程を記録した。その結果、アオリイカは孵化直後から鏡に接近して鏡面を滑るように腕先端でかすかに触る行動が見られた。孵化後30日には成体同様に鏡面に対して明確に定位する個体が認められた,成体期におけるタッチ行動に比べるとその頻度は低かった。孵化後50日以降では、タッチ行動を示す個体の数も増え、個体によっては成体期と同レベルの頻度を示すものも見られた。以上の観察から、アオリイカにおける自己鏡映像へのタッチ行動は、孵化直後から認められるものの、それは孵化後の生育に伴いより顕著になっていく過程であり、類人猿における鏡像自己認識と類似する点が認められることが明らかになった。
著者
坂巻 康司 寺本 成彦 森本 淳生 大出 敦
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28 (Released:2011-08-05)

本研究において、近代日本文学におけるフランス象徴主義の影響について私たちは精査した。その結果、日本文学の歴史のなかで、この影響はあまりにも強大であったため、明治から昭和後期に到る100年以上のあいだ決して消滅することがなかった、ということが分かった。この事実は、近代日本におけるフランス文化の位置・状況とその意味を考えようと望むあらゆる者にとって非常に重要である。
著者
高橋 豪仁
出版者
奈良教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002 (Released:2002-04-01)

日本のプロ野球には、私設応援団や後援会が存在する。それは、近代社会におけるスポーツイベントが創出したスポーツファンによって形成された、応援のための自発的集団である。本研究の目的は、私設応援団「神戸中央会」の参与観察を通して、「全国広島東洋カープ私設応援団連盟」と「近畿カープ後援会」の設立経緯と活動状況を明らかにすることである。1.下位文化研究の視点から私設応援団の参与観察を実施した結果、球場における示威的コミットメントや選手との距離の近さが彼ら独自の勢力資源となり、スタジアムでの典型的な応援行動である旗振りやリードは応援団の社会的勢力を儀礼的に象徴化する機能を有することが推察された。そして、官僚制やヤクザ的な擬似的家制度が、これらの彼ら独自の行動様式や価値基準に取り込まれており、官僚制は近代社会の主流から取り込んだものであり、擬似的家制度は社会の周辺部分に位置づけられた親文化である。ここに、応援団の下位文化の多層性を見ることができ、私設応援団の下位文化は、応援に関する彼ら独自の価値基準や行動様式に官僚制や擬似家制度をドメスティケイト(domesticate)することによって創られているのである。2.近畿カープ後援会の設立母体であった近畿広島県人会は、戦後の復興期において広島と大阪の間の物流のパイプ役として機能しており、広島県から近畿圏への労働力のスムーズな移動に貢献していた。目に見える形で広島との繋がりを意識することのできるスポーツ観戦は、広島県人会のメンバーにとって、大阪の広島県人としてのアイデンティティを確認する場であった。カープ後援会設立のための共感の共同性を作り出したものは、単なる故郷に関する共通の記憶ではなかった。それはカープによって上演されたV1の物語であり、広島から大阪に出て来て働くという共通の体験を再帰的に映し出す社会的ドラマとなっていた。
著者
梅本 雅 大浦 裕二 山本 淳子 清野 誠喜 櫻井 清一
出版者
独立行政法人農業技術研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

農産物直売所と地域スーパーにおける、それぞれ約20名の消費者モニターの視点軌跡、発話記録、記憶の状況等に関するデータの解析から、商品購買の際に被験者が記憶している属性数は限られており、特定の属性が基準を満たしているかどうかを確認する方式で商品選好が行われていることや、消費者は商品とPOPとを短時間にチェックしており、両者を交互に頻繁に確認しつつ商品選好を行っていることを確認した。また、29名の消費者モニターに対して視点軌跡把握計測装置を用いた実験を行った。具体的には、Cスーパーの野菜売り場などのスライドを15枚提示するとともに、店舗標準POPと試験POP(機能性やレシピなどの情報を付加したものをレタスやぶなしめじなど4種類の野菜に設置)、さらに、事前の被験者への話しかけ(スライド表示直前に「レタスがお買い得だそうです」や、「夕飯の献立を意識して店舗の様子を見てください」と説明)を行った場合と行わない場合の合計4つの試験区を設定し、被験者のPOP及び商品への注視時間を比較した。その結果、試験用POPでは、POP及び商品に対する注視時間が有意に多かったが、話しかけ有りと無しでは、注視時間の有意な差はなかった。但し、後者については、レタスについては効果がなかったが、ぶなしめじでは注視時間が有意に多かった。このことは、POP内容の工夫や、献立を考えるなど想起購買をもたらすような消費者への働きかけが、商品への消費者の注視を得る上で有効となることを示唆している。この点で、これらの分析結果は、産地マーケティングとして、消費者の注目を得やすいPOP内容や情報提供方法の構築に活用できると考えられる。