著者
スプリング ライアン
出版者
The Japanese Society for Language Sciences
雑誌
Studies in Language Sciences (ISSN:24359955)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.19-34, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
30

本研究では日本人と英語母語話者を対象に非言語カテゴリータスクを実施し、母語のタイプ、移動様態の特性、境界交差の3因子が移動事象のカテゴリー化に影響を及ぼすか否かを調査した。二項ロジスティック回帰分析の結果から、母語タイプと3種類の移動様態 (使役手段 (causative)、速度(speed)、普段(default))がタスクに現れるかどうかがカテゴリー化に影響していたが、境界交差と異常手段(expressive)様態の有無が影響していないことが分かった。また、被験者の母語タイプに関わらず、視認性が高い様態 (使役手段) と視認性が低い様態 (普段) がタスクに含まれると、移動の様態を優先的に選択することが明らかになった。この結果に基づき、これまでの事象合成に関する先行研究を再考する必要があると考えられる。