著者
スリフト ナイジェル 林 凌
出版者
大阪府立大学大学院人間社会システム科学研究科
雑誌
空間・社会・地理思想 = Space, society and geographical thought (ISSN:13423282)
巻号頁・発行日
no.22, pp.179-205, 2019

本稿は複雑性理論に対する注目度の増大を、普及の地理学という観点から考察する試みである。第一に、それ自体修辞的な複合体である複雑性理論が、グローバル化したサイエンス、ビジネス、ニューエイジといったアクターネットワークの中を通り抜け、循環するようになるにつれ、新しい意味を獲得していったということを論じる。複雑性理論がこれらのネットワークの中を循環することによって、それは新しい条件に遭遇し、新しいハイブリッドな理論形態を創出するようになったのである。第二に、複雑性理論が、欧米社会における新しい感情構造の出現として解釈されうる可能性があるかどうかを論じる。結論部ではこうした解釈に対する警句を述べる。