著者
田澤 薫 タザワ カオル
雑誌
2008-2012年度科学研究費補助金(基盤研究(C))研究成果報告書
巻号頁・発行日
2013-06

課題番号: 措置は、児童福祉法の制定による児童保護から児童福祉への転換を象徴する制度である。戦前からの施設が措置施設と規定されたが、従来の方法論は踏襲されず現場に混乱を招く例も少なくなかった。特に保育所は従来の方法論と新制度の齟齬が表出しやすく、児童保護の「託児」から児童福祉の「保育」への転換期に措置制度がもたらした混乱が顕著に見られた。保育所の措置は、placing(適切な居場所を見出す事)に原義を求める理念を継受せず、公的責任を担保するGHQ政策への対策とされたにすぎないことが明らかになった。