著者
タンメロイルマー
出版者
日本法哲学会
雑誌
法哲学年報 (ISSN:03872890)
巻号頁・発行日
vol.1969, pp.195-205, 1970-10-10 (Released:2008-11-17)
参考文献数
1

本稿は現代法論理の本質と目標に説明と分析を行うものである。法論理学は現在の法理論において極めて顕著な発展をとげているのである。法論理学は、ここでは、法の領域においての自己矛盾のない思考の原則および方法に関する形式的な学問forma ldisciplineと考えられる。法論理は、法学的論理juristic logicあるいは、目的が法についてのabout思考にある論理と、法的論理juridic logic、目的が法そのものitselfの思考にある論理とに分けられる。従来、法論理学の価値について表明されて来た反対意見は、以下に示す根拠によって排斥されるものである。それは、このような意見のすべてが、近代論理学の原則、方法、範囲について適切な理解を欠いていること、また、法思考は厳密な基準や技術を参照したり頼りとすることによってのみ、理解や処理が可能である合理的要素や局面があることは否定しえないことであるからである。法方法legal methodが論理的手続によってのみ成りたつているものではないこと、論理的手続の他に形式的には妥当でないが、なお合理的であると弁護出来る結論に導いて行くような他の手続の存在が認められる。この本質は法の実体的内容をなすものであり、それは探索的zetetic推理とでも呼べるものである。このような探索的推理の主要な種類には、帰納論法induction、類比論法eduction(類比analogyによる推理)、演繹論法deductionおよび擬似論法paraductionがある。擬似的推理は価値判断を正当化するに当つて特に使用され、その理論は前提論topics、修辞学rhetoricsおよび弁証法dialecticsといつた仕組の中で発展して来た。本稿は、たえず増加している法の複雑性と数量が、最も新しい推理の技術によってのみ対処しうる法方法論に挑戦してきているという結論に達した。現代の法論理学は、探索の分野に属する学問の最近における発展と相まって、法的推理の用具としての論理このような挑戦に対応しうるものと考えられている。