著者
トムソン木下 千尋 福井 なぎさ
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.172, pp.48-61, 2019 (Released:2021-04-26)
参考文献数
21

本稿は,オーストラリアでの日本語教員養成と教育実習を一大学の事例から検討するものである。背景にある課題として、初等・中等教育の学習者が多いオーストラリアでは初等・中等教育の教師の養成が重要であることが挙げられる。また,大学における日本語教育担当者の育成はシステマティックには行われていないのが現状である。さらに,オーストラリアで短期滞在し教育実習をする日本の大学の学生も多い。ここでは,該当大学の教育実践を実践コミュニティ,越境的学習という二つの論点から紹介し,これらの教員養成課題に日本語教育関係者が貢献できるのは,日本語教育実践をしっかり行うことだとする。自らが持つ日本語教育の理念,該当大学の場合は,日本語教育を通じて「つながる力」をつけることを実践し,それを体験してもらうことが将来の日本語教員の育成につながると考える。