著者
鳥澤 孝之 トリサワ タカユキ
出版者
日本知的財産協会
雑誌
知財管理 (ISSN:1340847X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.793-805, 2009-07

わが国では官公庁が作成した法令、通達等の著作物については、著作権法で権利の目的とならないものと規定されている。しかし政府が制定する国家規格のうち日本工業規格については、原案を作成する民間団体等の創作のインセンティブを高めることや、翻訳利用しているISO(国際標準化機構)等が作成した国際規格の著作権保護などを目的として、国家規格自体が著作権により保護されるとの見解がある。本稿では、わが国の官公庁著作物に係る著作権制度を検討するとともに、工業標準化制度や国家規格の制定過程、及び諸外国における国家標準化機関や国家規格の著作権保護をめぐる制度や判例を検討した上で、日本工業規格の原案作成に関与した民間団体の利益保護の施策の方向性について考察するものである。