著者
新谷 由紀子 菊本 虔
出版者
日本知的財産協会
雑誌
知財管理 = Intellectual property management (ISSN:1340847X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.175-189, 2014-02

学術論文のうち、特に自然科学系の原著論文については、著作権の対象として保護される可能性が低く、むしろ、全体として論文の著作物性を否定するべきである。そして、当該論文の問題に関しては、裁判所の判断を求めるのではなく、学界内部にその救済機関を設置し、プライオリティの判断や著者の名誉の保護を目指すべきである。それにより論文の電子媒体等による広範な普及を図ることができ、一方、学術出版社(者)に与える影響は小さいか、ほとんどないと考えられる。また、学術研究と著作権に関連する創作性のないデータベースについてデータベースの投資者に独自の権利(sui generis right)を与えることについては、著作権類似の権利の拡充を認めるものであり、特に、学術研究に対する重大な障害になるおそれがあるので、慎重、かつ、広範な議論を要する。
著者
鳥澤 孝之 トリサワ タカユキ
出版者
日本知的財産協会
雑誌
知財管理 (ISSN:1340847X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.793-805, 2009-07

わが国では官公庁が作成した法令、通達等の著作物については、著作権法で権利の目的とならないものと規定されている。しかし政府が制定する国家規格のうち日本工業規格については、原案を作成する民間団体等の創作のインセンティブを高めることや、翻訳利用しているISO(国際標準化機構)等が作成した国際規格の著作権保護などを目的として、国家規格自体が著作権により保護されるとの見解がある。本稿では、わが国の官公庁著作物に係る著作権制度を検討するとともに、工業標準化制度や国家規格の制定過程、及び諸外国における国家標準化機関や国家規格の著作権保護をめぐる制度や判例を検討した上で、日本工業規格の原案作成に関与した民間団体の利益保護の施策の方向性について考察するものである。
著者
鳥澤 孝之
出版者
日本知的財産協会
雑誌
知財管理 (ISSN:1340847X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.793-805, 2009-07

わが国では官公庁が作成した法令、通達等の著作物については、著作権法で権利の目的とならないものと規定されている。しかし政府が制定する国家規格のうち日本工業規格については、原案を作成する民間団体等の創作のインセンティブを高めることや、翻訳利用しているISO(国際標準化機構)等が作成した国際規格の著作権保護などを目的として、国家規格自体が著作権により保護されるとの見解がある。本稿では、わが国の官公庁著作物に係る著作権制度を検討するとともに、工業標準化制度や国家規格の制定過程、及び諸外国における国家標準化機関や国家規格の著作権保護をめぐる制度や判例を検討した上で、日本工業規格の原案作成に関与した民間団体の利益保護の施策の方向性について考察するものである。
著者
鳥澤 孝之
出版者
日本知的財産協会
雑誌
知財管理 (ISSN:1340847X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.1805-1814, 2011-12

デジタル化・ネットワーク化による技術の進展は、著作物の流通を著しく促進していることから、著作権制度に大きな影響を与えている。特にコンテンツの利用においては、ビデオカセット、DVDなどのパッケージソフトウェア、電子書籍等について著作権保護を図ると同時に、公益性の観点から著作権者の排他的権利を制限することが必要になる。「その2」では、わが国の著作権制限規定の適用の状況について考察し、著作権制度の今後の課題について提言する。
著者
鳥澤 孝之
出版者
日本知的財産協会
雑誌
知財管理 (ISSN:1340847X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.1651-1671, 2011-11

デジタル化・ネットワーク化による技術の進展は、著作物の流通を著しく促進していることから、著作権制度に大きな影響を与えている。特にコンテンツの利用においては、ビデオカセット、DVDなどのパッケージソフトウェア、電子書籍等について著作権保護を図ると同時に、公益性の観点から著作権者の排他的権利を制限することが必要になる。「その1」では、わが国の著作権制度について、映画の著作物などのコンテンツを中心に、著作物の頒布と上映に係る権利の変遷や、条約、外国法との比較などを通して考察する。
著者
吉田 広志
出版者
日本知的財産協会
雑誌
知財管理 (ISSN:1340847X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.1743-1753, 2007-11-20
著者
新谷 由紀子 菊本 虔
出版者
日本知的財産協会
雑誌
知財管理 = Intellectual property management (ISSN:1340847X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.175-189, 2014-02

学術論文のうち、特に自然科学系の原著論文については、著作権の対象として保護される可能性が低く、むしろ、全体として論文の著作物性を否定するべきである。そして、当該論文の問題に関しては、裁判所の判断を求めるのではなく、学界内部にその救済機関を設置し、プライオリティの判断や著者の名誉の保護を目指すべきである。それにより論文の電子媒体等による広範な普及を図ることができ、一方、学術出版社(者)に与える影響は小さいか、ほとんどないと考えられる。また、学術研究と著作権に関連する創作性のないデータベースについてデータベースの投資者に独自の権利(sui generis right)を与えることについては、著作権類似の権利の拡充を認めるものであり、特に、学術研究に対する重大な障害になるおそれがあるので、慎重、かつ、広範な議論を要する。
著者
新谷 由紀子 菊本 虔
出版者
日本知的財産協会
雑誌
知財管理 (ISSN:1340847X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.1529-1545, 2012-11

「特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には,及ばない。」と規定された特許法69条1項について.「試験・研究」の範囲の明確化が求められ,経済産業省にも2004年にワーキンググルーフによる報告書が発表された。この中では.通説のとおり,大学における試験・研究の範囲も一般企業と同ーの観点から解釈された。しかし近年は国内の判例や臥米の立法例において従来と異なる考え方のものが現れてきており,本稿でも,従来の通説を改めて, 大学における試験・研究について,新たな解釈論や法整備が必要であるという主張を述べた。大学における試験・研究は,企業との共同研究や受託研究等を除いて原則として特許権の効力が及ばないとし,研究成果が市場に出て利益を得る状態になった時点でそれに関連する試験・研究について特許法の例外適用をしないとするものである。