著者
トンタット ロイ 高野 渚 安藝 史崇 齊藤 元 水戸部 一孝
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.S351, 2018

<p>近年,身体への負担の少ない癌治療法として温熱療法(ハイパーサーミアと呼ばれる)が注目されている.本研究における加温方式は松木氏が提案したソフトヒーティング法である.これは,感温磁性体を患部に埋め込み,体外から高周波磁場を印加することにより,磁性体を誘導加熱させ患部だけを局所的に加熱する方式である.我々は,感温磁性体の温度依存の磁気特性による周囲磁場の乱れを体外に設置するピックアップコイルに生じる誘導起電力の変化として計測することで,磁性体の到達温度をワイヤレスで検知可能な温熱治療システムを研究している.これまでに,磁場印加用コイルの内側にピックアップコイルを設置する手法により,体表面から深さ4 cmまでの条件で温度変化が検知で可能であった.しかしながら,臨床応用するためにはさらに深部の条件において検知できることが望まれる.そこで,本報告では検知可能距離を延伸するために,新たに磁場キャンセル用コイルを加えたピックアップコイルを構築し,磁場印加用コイルとピックアップコイルが生体を挟んで向き合う対向型磁場印加検知ユニットを考案し,物理実験により妥当性を評価した.</p>