著者
中村 泰治 ナカムラ ヤスハル Yasuharu Nakamura
雑誌
浦和論叢
巻号頁・発行日
no.46, pp.29-43, 2012-02

証券市場をどのように導き出すかは経済原論の難問の一つであり、従来から資本結合の発展から導出するものと、信用制度の限界から導出するものとが対立してきた。しかし、原理論で資本と資本の結合を説くのはそもそも無理である。そうかといって、株式市場に流入する資金を説き得ない以上、信用制度の限界から株式市場を導出することもできない。原理論ではせいぜい手形よりも期限の長い貸付証券の市場を説き得るにとどまるのである。
著者
中村 泰治 ナカムラ ヤスハル Yasuharu Nakamura
雑誌
浦和論叢
巻号頁・発行日
no.40, pp.71-81, 2009-02

信用創造は商業銀行に特徴的な業務とされ、それが可能になる条件の解明が銀行論の大きな課題になってきた。しかし、商業銀行が手形割引きを媒介に密接な関係を結ぶ商業信用で、すでに信用創造は行われているという見解がある。そこで、掛け売買に遡りながら商業信用における信用創造的な事態を確認したあと、そうした事態を生む商業信用の成立条件を考察しながら、商業銀行における本来の信用創造の成立条件について展望することにする。
著者
中村 泰治 ナカムラ ヤスハル Yasuharu Nakamura
雑誌
浦和論叢
巻号頁・発行日
no.44, pp.15-29, 2011-01

商業銀行の基本業務は預金収集と手形割引であり、商業銀行といえども、基本的には他のタイプの銀行と同様に金融仲介機関である。しかし商業銀行は別の業務も行う。たとえば手形割引の拡大のために銀行券を発行するが、この信用創造は、商業銀行の基本業務というより、基本業務をベースにして行う商業銀行の特徴的業務といえる。また、商業銀行は銀行券による預金収集や手形交換を行うし、銀行間で短期金融業務も行う。これらの業務も基本業務をベースにして登場し、基本業務を増幅すると同時に信用創造を拡大する意義をもつものということができる。
著者
中村 泰治 ナカムラ ヤスハル Yasuharu Nakamura
雑誌
浦和論叢
巻号頁・発行日
no.42, pp.1-17, 2010-01

信用創造を行うのは商業銀行の大きな特徴であるが、銀行信用の基礎をなす商業信用ですでに信用創造的事態を見て取ることができる。そこで商業信用から銀行信用までを信用創造の発展論として説き、銀行の本質を信用創造機関として説く試みも行われている。しかし、個人の商業銀行の行う信用創造には狭い限界があり、信用創造は大きなものにはならない。したがって、個人の銀行の基本業務は、一方で資金を集め他方で資金を貸し出す金融仲介であり、個人銀行にとって信用創造は基本業務を増幅する二次的業務にとどまるのである。
著者
中村 泰治 ナカムラ ヤスハル Yasuharu Nakamura
雑誌
浦和論叢
巻号頁・発行日
no.50, pp.85-98, 2014-02

金融システムの機能は景気循環の各局面に応じて変化する。典型的な景気循環において、好況期の上昇局面では、金融システムは資本蓄積を積極的に促進するが、不況期の下降局面では、むしろ資本蓄積をマイナスに促進する。独占段階になると、大恐慌のように長期の下降局面が現れることがあるが、こうした局面では金融システムの機能の逆転性はヨリ明確になる。しかしこの機能変化は金融システム自身に原因があるのではない。資本蓄積の変化が基礎にあり、金融システムはその変化を増幅する機能を果たしているに過ぎないのである。The financial system plays the different functions in each phase in a business cycle.In the typical business cycle, it promotes the accumulation of capital positively inthe rising phase, but it reduces the amount of capital in the declining phase. On thestage of monopolistic capitalism, the contrary function of the financial system appearsclearly in such a declining phase as the Great Depression. But the financial systemdoes not change the function independently. It only expands the change in thecondition of the accumulation of capital.
著者
中村 泰治 ナカムラ ヤスハル Yasuharu Nakamura
雑誌
浦和論叢
巻号頁・発行日
no.44, pp.15-29, 2011-01

商業銀行の基本業務は預金収集と手形割引であり、商業銀行といえども、基本的には他のタイプの銀行と同様に金融仲介機関である。しかし商業銀行は別の業務も行う。たとえば手形割引の拡大のために銀行券を発行するが、この信用創造は、商業銀行の基本業務というより、基本業務をベースにして行う商業銀行の特徴的業務といえる。また、商業銀行は銀行券による預金収集や手形交換を行うし、銀行間で短期金融業務も行う。これらの業務も基本業務をベースにして登場し、基本業務を増幅すると同時に信用創造を拡大する意義をもつものということができる。Collecting deposits and discounting bills are basic services of a commercial bank which is a financial intermediary just like other types of banks. But it makes more services. Issuing service of bank notes to expand discounting bills is what is called credit creation, which is not a basic service but a characteristic service of a commercial bank. It also makes depositing service of bank notes, clearing service of bills and financing service of short-term loans. These services are of significance to amplify basic ones and credit creation of a commercial bank.