著者
ナロック ハイコ
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.108-122, 2005-07-01

自立語または統語構造が付属語化,接尾辞化していくという形態的過程が文法化論の出発点となっているが,現在行われている文法化論はむしろ意味・機能面に集中している。そして,特に形態変化が豊富な日本語においては,形態変化のあり方,とりわけ形態変化の規則性は明確に記述されているとは言えない。本稿は,日本語の文法化における形態的側面に焦点を当て,動詞活用・派生体系の形態変化に基づいて四つの原則,つまり(1)(自立語の)接尾辞化,(2)形態的統合,(3)音韻的短縮,(4)活用語尾化が働いていると指摘する。こうした原則を特定するために音韻的にも厳密な形態論を使用する必要があると論じる。また,最後に,原則に反する形態変化の例を取り上げ,そこに「外適応」と「類推」のプロセスが働いていることを示す。
著者
ナロック ハイコ
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.108-122, 2005-07-01 (Released:2017-07-28)
被引用文献数
1

自立語または統語構造が付属語化,接尾辞化していくという形態的過程が文法化論の出発点となっているが,現在行われている文法化論はむしろ意味・機能面に集中している。そして,特に形態変化が豊富な日本語においては,形態変化のあり方,とりわけ形態変化の規則性は明確に記述されているとは言えない。本稿は,日本語の文法化における形態的側面に焦点を当て,動詞活用・派生体系の形態変化に基づいて四つの原則,つまり(1)(自立語の)接尾辞化,(2)形態的統合,(3)音韻的短縮,(4)活用語尾化が働いていると指摘する。こうした原則を特定するために音韻的にも厳密な形態論を使用する必要があると論じる。また,最後に,原則に反する形態変化の例を取り上げ,そこに「外適応」と「類推」のプロセスが働いていることを示す。