- 著者
 
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             アーウィン マーク
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 日本音声学会
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 音声研究 (ISSN:13428675)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.8, no.2, pp.69-80, 2004-08-31 
 
          
          
          
        
        
        
        日本語の歴史的音韻学の定説の中で,音便というのは未だに不透明な部分もあり,中古語で発生した複雑な音変化群を示す。しかしながら,Frellesvigの『A Case Study in Diachronic Phonology - The Japanese Onbin Sound Changes』という著作が1995年に出版されるまで,ある意味では,音便の音変化の働きに関する特徴の理解,殊に音便の誘引や動機づけの理解が浅薄だったと言えるであろう。このFrellesvigの通時的な音韻学の例示研究はAndersenが60年代から開発した言語学理論の枠組の内で製作されたものの,Andersonの理論は記号学やヨーロッパの構造言語学に基づいたものである。この論文では,音便を定義し要約したのち,現象の誘引や動機づけを吟味しながら,現在までの学識及び観点の異なるFrellesvigの理論についても考察する。