著者
廣瀬 哲夫 内田 一徳 田中 勉 ファン ティハンチャン 石渡 洋子
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.251, pp.515-527,a1, 2007

浸透破壊は, 地下水位の高い地点における土木構造物の性能設計において重要な課題の一つである. ここでは, 二次元複列矢板内地盤の浸透破壊実験について, PIV (Particle Image Velocimetry) 解析を行い, 水頭差の増加に伴う地盤構成砂粒子の移動現象に関する考察から次の結論を得た:(1) PIV解析を用いることによって, 砂粒子の移動の領域や様子を把握することができる.(2) 水頭差が変形開始時水頭差<I>H<SUB>y</SUB></I>を超えると, 複列矢板内の矢板壁近傍の砂粒子の上方向への移動, 及び, 矢板壁から少し離れた部分の複列矢板中央へ向かう斜め上方への移動が認められる.(3) 水頭差が変形開始時水頭差<I>H<SUB>y</SUB></I>を超えた直後の, 砂粒子の移動の範囲は, おおよそ, 深さ<I>D</I> (矢板の根入れ深さ) 及び幅<I>D</I>/2の範囲である.(4) PIV解析による地盤構成砂粒子の塊としての移動開始時水頭差<I>H<SUB>PIV</SUB></I>, 流量急増時水頭差<I>H<SUB>d</SUB></I>, 及び, 変形開始時水頭差Hyはほぼ等しい.