著者
ブレクモア ロバート J
出版者
Kanagawa Prefectural Museum of Natural History (Kanagawa Prefectural Museum)
雑誌
神奈川県立博物館研究報告(自然科学) (ISSN:04531906)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.48, pp.55-60, 2019 (Released:2019-09-01)

ヤマトミミズ Amynthas japonicus (Horst, 1883) は、1820 年代収集されたシーボルトのコレクションに基づき記載された日本在来のミミズ3 種のうちの1 種である。ヤマトミミズ以外の2種は比較的よく知られていて、現在の分布もよく判っているのに対して、ヤマトミミズは初出以降、全く記録されていない。タイプ産地と考えられる長崎で採集を試みたが、ヤマトミミズを採集することはできなかった。これに加えて既存の調査結果を精査した結果、ヤマトミミズはほぼ200 年もの間にわたって記録がなく、非常に珍しい種類であるかあるいはおそらく絶滅してしまったということが示唆された。現在、ヤマトミミズはIUCN レッドリストでは「DD データ不足」(“絶滅した可能性あり”)と位置づけられているが、これは「EX 絶滅」と再位置づけするべきと考えられる。本種は、記録に基づけば、日本からの最初のミミズの絶滅種であり、無脊椎動物としても2 番目の絶滅種と考えられる。本稿では、最新の情報に基づく現在の日本のミミズの分類のチェックリストを付記した。