著者
Borjigin Monkbat ボルジギン ムンクバト
出版者
千葉大学ユーラシア言語文化論講座
雑誌
千葉大学ユーラシア言語文化論集 (ISSN:21857148)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.261-266, 2014-09-25

日本語要約:P.266本稿では、内モンゴルにおけるモンゴル学校の言語教育について考察する。牧畜地域であるシリンゴル盟におけるモンゴル民族学校の事例を中心に見る。内モンゴルの民族学校と漢族学校状況の比較分析から着手する。先ず、内モンゴルで実施されている「二言語教育」は、他の多民族社会のその状況とくらべてみてどの程度のものかを比較してみる。教育カリキュラムにおける母語教科科目をモンゴル民族学校と漢族学校、さらに日本の小学校と在日朝鮮人学校の状況と比較し、本来の母語の教育について考察をした。漢族学校では民族語と算数が一週間の総授業の中で3割以上という高い割合をしめ、真の国民教育の姿が見える。日本の学校と朝鮮学校からも民族語の教育については2割程みられる。それらに反して、モンゴル民族学校ではモンゴル語の割合が2割に満たないし、学年が上がるにつれてその割合が減少するという致命的な問題を孕んでいることがわかる。それに算数の授業が1割しか占めていない。内モンゴルではモンゴル語、漢語、英語の3つの言語を小学校の低学年から履修され、言語科目の数が他の地域と異なる。それがやがて算数など他の教科科目にも影響を及ぼしていると考えられる。