著者
宮本 悟 ミヤモト サトル
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:9152539)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, 2014-10

北朝鮮では,建国以来,実質的に朝鮮労働党による一党独裁制が続いてきたが,最高指導者の交代はあった。そこで本稿では,金日成とその後継者である金正日の対米認識の違いによって,核問題をめぐる北朝鮮の対米外交政策が変化したことを明らかにする。第1次核危機では,金日成自身は核兵器開発をしないと公言し,米国との和解に期待をかけていた。しかし,金正日は,米国に対する警戒心が強かった。第2次核危機では,金正日は米朝対話を続けながらも,核兵器を保有することを決定した。第2次核危機において北朝鮮が公然と核兵器開発を始めたのは,金正日が金日成よりも米国に対して敵対的な見解を持っていたためといえよう。