著者
ワイコ グレッグ
出版者
Japanese society of turfgrass science
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.1-2, 2004

シーショア・パスパラムは、現在世界中で重要視され、利用が増加している芝草であり、アジア、南アフリカ、南アメリカ、ハワイそしてアメリカの熱帯のゴルフコースにおいて育成されています。シーショア・パスパラムはすべての芝草の中においても高い耐塩性を示し、降水が十分で土壌の塩分の増加を防ぐことのできる場所であれば、海水での灌水が可能です。<BR>また、廃水や再利用水の継続的な使用にも耐えることができます。そして、これらの状況下においても高い地上被覆密度を維持し、雑草に対する競争力も持っています。感染する病気も極めて少なく、一般的には農薬も必要としません。加えて、シーショア・パスパラムは中程度の耐陰性、耐干性も持っており、土壌pHの適応範囲がほかの草よりも広く、また、水・窒素分も必要とする量が少なくてすみます。刈取り高さもバーミューダグラスと同じくらい低く、冬の間は寒地型芝草との共存もでき、冬季に追播されたこともありました。<BR>しかし、シーショア・パスパラムは活性のある種子をほとんどつけないため、ほふく茎、地下茎、苗を用いて生長・繁殖させないといけません。また残念なことに、一般に使用されている発芽後に処理する除草剤を利用すると、パスパラムは薬害を受けてしまいます。もう一つのマイナスの特徴としては、低い耐寒性があげられます。熱帯および亜熱帯地方では常緑ですが、気温が12-13℃を下回る日が2週間以上続くような場所では休眠状態に入ります。シーショア・パスパラムのターフをはがされることにも耐性がありません。誤ってはがされてしまった場合、通常回復するのに何.週間もかかってしまいます。<BR>シーショア・パスパラムの何品種かは市場に出ていますが、いくつかはセントオーガスチンのように葉幅が広いものであったり、他には普通のバーミューダグラスに似たようなものもあります。シーショア・パスパラムには多くの品種があり、ティーグリーン、フェアウェイ、ラフにおいてはすでにあるものの中から適した品種を選択することができますが、パッティンググリーン用のものはさらに開発する必要があります。