著者
一色 努 合田 英子 造々 晶子 蜂谷 直樹 越智 るり子
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.425, 2019 (Released:2021-10-30)

はじめに 重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))は意思疎通が困難なことが多く、その時々に必要なケアを看護師の判断に委ねることが少なくない。看護師は自分の頭で考え必要な看護ケアを判断し実践する。このような中、看護師の五感を使ったフィジカルアセスメント能力の向上は重症児(者)の看護ケアに効果があると考え、Z施設ではT大学の協力を得てフィジカルアセスメント研修を年2回行い今年で3年が経過した。その取り組みについて報告する。 方法 T大学病院研修センターにおいてプログラミングシミュレーション人形を使用し、重症児(者)が起こしやすい病態を、2事例設定しシミュレーション研修を行う。 研修は2人1組で行いシミュレーション8分、ディブリーフィング10分を行い、1回の研修参加者3組6名とした。 過去3年間、この研修に参加した32名の看護師にアンケート調査を行い、研修に参加したことで自身の看護ケアにどのような影響をもたらしたか、聞き取りを行った。 結果 何が起こり何を考え何を行ったか言語化することで、看護ケアに根拠と自信が持てるようになった。他者が看護ケアの根拠を伝えてくれることで、看護ケアを多角的に考えることが出来るようになった。自分に足りないところ、気付けなかったところが気付けるようになったという効果が聞き取りできた。 考察 研修参加者は2人1組で実践を行うことで、今何が起きているのかお互いに考えを述べケアを行うことで自分の頭の中の考えだけでなく相手の考えを聞くこができた。また3組それぞれの実践を見学することで、アプローチの方法が自分と異なることもあるということを知ることができたと考える。 申告すべきCOIはない。