著者
箱石 健太 一言 正之 善光寺 慎悟 西口 亮太
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.539-546, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
11

AI技術の発展により様々な流入量予測手法が提案されているが,より信頼性を高め社会実装を実現するためには予測に至るまでの根拠を示し,予測結果の妥当性を確保する必要がある.本研究では対象流域を江の川水系土師ダム流域とし,気象庁の解析雨量を入力条件とする畳み込みニューラルネットワークによる流入量予測モデルを構築した.このモデルに対し,XAI(説明可能なAI)の技術を適用し,どのような根拠に基づいて予測を行ったかを可視化し考察を行った.考察の結果,流入量予測モデルの妥当性を確認した.
著者
西口 亮太 善光寺 慎悟 高木 康行 一言 正之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
河川技術論文集 (ISSN:24366714)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.31-36, 2023 (Released:2023-10-31)
参考文献数
11

本報告では,機械学習を用いた流出解析において,画像解析を得意とするCNNを用いて,気象庁解析雨量のみを入力条件とする手法を提案し,江の川水系土師ダム流域を対象として検証を行った.また,入力条件となる解析雨量の時系列や空間分布の設定が,計算精度に与える影響について比較検討を行った.本手法では,過去48時間分の解析雨量データを入力条件に与えるだけで,実用上十分な精度で流量を推定可能であった.さらに,解析雨量データを合理的に平均化処理することで精度が向上することを示した.また,地上雨量による流域平均雨量を用いたDNNモデルより,解析雨量を用いたCNNモデルのほうが,高精度であることを示した.
著者
一言 正之 桜庭 雅明
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.1D103, 2018 (Released:2018-07-30)

洪水氾濫災害に対するソフト対策として,洪水予測の精度向上は重要である.洪水予測にはして様々な手法が提案されており,そのうちの一つにニューラルネットワーク(ANN)によるものがある.これまでの研究で,様々な河川においてANNモデルの適用性が報告されているが,他の手法と比べた精度の優位性は示されておらず,全国の洪水予測システムなどで実用に至っている例は少ない. また,ANNをはじめとする機械学習モデルの一般的な弱点として,学習事例を上回るような事例に対しては予測性能が担保されない,という点が挙げられる.洪水予測においては,学習事例を上回るような大規模洪水への対応こそが重要である.そのため,ANNによる洪水予測モデルは十分な信頼性を得られておらず,防災現場への実用化が進んでいない. こうした課題への対応として,本検討では2016年の台風10号で生じた網走川における過去最大の洪水事例を対象として,ANN洪水予測モデルの適用検討を行った.学習事例を上回るような高い水位の洪水に対しても,「水位変化」に着目して学習を行うことで,予測モデルの適用性が保たれることを示した.
著者
一言 正之 桜庭 雅明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.22-33, 2017 (Released:2017-03-20)
参考文献数
37
被引用文献数
12

深層ニューラルネットワークと流出モデルを組み合わせたハイブリッド洪水予測手法を開発した.ハイブリッドモデルの構造は階層型の深層学習(ディープラーニング)を適用したニューラルネットワークを基本とし,入力層に分布型流出解析モデルの計算結果を加えることで両モデルを融合させた.具体的には,入力層は上流の水位,水位変化および流域の水分貯留量の推定値とし,出力層は予測地点の水位変化とした.学習時の入出力データには実測データを用い,予測時には実測水位・雨量データと分布型モデルの予測流量とを組み合わせた入力層データを用いた. ハイブリッド手法の結果は,元のニューラルネットワークおよび分布型モデルを上回る精度となり,特にニューラルネットワークで誤差の大きかった期間最大洪水で精度向上が見られた.