著者
フランク アンダース 七邊 信菫
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.126-136, 2008 (Released:2021-07-01)

シリアスゲームは楽しくて遊べるゲームであることとともに、娯楽以外の目的で使えることを目指す。このことはそのデザインプロセスに、面白くやりがいのある課題を提出する。それは、娯楽以外の目的を達成することと同時に、 そのデザインが楽しみや熱中をもたらすことをどのように確実にできるか、という課題である。教育用ゲーム(シリアスゲームの派生物)のゲームデザインは、トピック (訓練の目的) とゲームが使用される環境に左右される。私たちは、次の 3つのデザイン目標が同時に達成されるような実用的なデザイン手法を提案する。 その目標とは、(1) 人が夢中になるゲームを創ること、 (2) 訓練の目的に適切に役立つこと、 (3) ゲームを取り巻く訓練の文脈がデザインの決定に影響を与えること、である。本稿では、デザインの問題の分布範囲を調べ、いかに 3つのデザイン目標が相互依存しているか、そしてバランスのとれたデザインがどのようにこれら 3つのすべてを満足させるかを示す。たとえば、訓練の目的は、ルールと目標のわかりやすいデザインを妨げることがある。訓練の文脈は、課題を構成する方法やゲームによる学習が達成される過程に影響する。この方法を説明するため、「Foreign Ground」という訓練用シリアスゲームのデザインプロセスを紹介・議論する。