著者
三上 統生
出版者
弘前医療福祉大学短期大学部内紀要編集委員会
雑誌
弘前医療福祉大学短期大学部紀要 = Journal of Hirosaki University of Health and Welfare Junior College (ISSN:21876436)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.27-32, 2013

天然原料を使って取っただしと顆粒だしを使っただしについての識別及び嗜好とそれに関わる要因についてアンケートによる調査を行った。アンケートは塩分濃度0.3%に調製した鰹だしと顆粒だし溶液との飲み比べと、それらのだしを用いて塩分濃度1.0%に調製した味噌汁の飲み比べを行い、識別能と嗜好性に関する質問と普段の食生活に関する質問に回答する形式で行った。その結果、年代によりだし・味噌汁の識別能と嗜好性に差がみられた。若い年代ではだしの識別能が上の年代よりも高かったが、天然のだしより顆粒だしの味を好む傾向が強いことが示唆された。顆粒だしはその便利さ故、現代の生活には欠かせないものであるが、インスタント食品の味付け同様に味が強化されており、この濃い味に慣れると味覚の鋭敏さが衰える恐れがある。そのため時間をかけてでも天然のだしを取りその味を学習することは味覚の敏感な若い年代にとって、今後の味覚の土台を形成する上で非常に重要なことである。