著者
三原 信一
出版者
佐賀大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

(1)CAI教材導入前の学習過程の分析:被験者を大学生とした中学校技術・家庭科の教科書を参考にした内燃機関の分解組立学習を行い、作業分析を行った。この結果をもとに、まず、簡易型燃焼実験装置の製作、ビデオによる気化器の学習教材の製作を行った。簡易型燃焼実験装置についてはその結果を産業技術教育学会全国大会に報告した。さらにこれらの教材開発をもとに、CAIの導入効果が得られる内容を検討し、その第一段階として内燃機関の機構学習につながるリンク装置のCAI教材を開発することにした。(2)CAI教材の作成技法の開発:開発の理念として、単にリンク装置の動きを理解するという基本的な学習としての、一方向的な内容にするのではなく、基本的な学習内容をさらに応用化する能力を養うために自主的に教材に参加できる双方向的な内容にすることとした。具体的には、生徒にリンクの動く範囲をマウスを用いて入力させると、その動きを満足するリンク装置がディスプレイに動画表示され、ついで、このリンク装置の各リンクにマウスを用いて絵を重ねさせると、これらの絵がリンクの動きに従ってシミュレーション表示されるソフトになる。この内容は、産業技術教育学会情報部会において報告した。この中で用いた動画技法は、非常に簡便にかつ容易に複雑な絵(モジュール)を任意の関数で動画出来るものであり、リンク機構の学習以外の教材に広く応用できるので、今後開発を続行していきたい。(3)授業実践:2項で述べた開発ソフトを用いて初任者教師による授業実践を行い、開発教材の検討を行った。個性的で創造性の高い学習結果が得られ、CAI教材が学習効果の質を高めるのに非常に有効であることが明らかになった。この結果は来年度の産業技術教育学会で報告する。