著者
三角 修子 前川 嘉洋 三宅 大我 横山 眞爲子
出版者
Western Division of Japanese Dermatological Association
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.471-474, 2005-10-01
被引用文献数
2

症例は58歳,女性。1992年から慢性腎不全で人工透析を導入された。2003年1月頃から左上腕,右大腿,下腿に疼痛を伴う黒色壊死が突如出現した。2003年5月14日当科初診時,黒色壊死部周囲に暗赤色の皮膚病変を認めた。皮膚生検にて,表皮の変性,壊死と皮下組織の小中血管壁への石灰沈着の所見を認め,calciphylaxisと診断した。低カルシウム血症はなく,副甲状腺ホルモン値も正常値であったが高リン血症を認めていた。抗生剤の点滴と軟膏処置による保存的加療を施行した。当初,感染コントロールは困難で皮膚病変は拡大する一方であったが,塩酸セベラマーの内服を開始したところ,皮膚病変の進行は見られなくなり,潰瘍も縮小,経過は良好であるように思われた。しかし10月21日,嘔吐後に突然心肺停止状態となり,同日永眠された。