著者
平 明徳 三宅 裕士 亀田 卓 末松 憲治 高木 直 坪内 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.194, pp.51-56, 2013-08-29

日本の天頂付近に8時間程度留まることが可能な準天頂衛星(QZS)を活用し,高精度な位置情報とポケベル程度の簡単なデータ/メッセージを双方向通信できる準天頂衛星システム(QZSS)の開発が進められている.本稿では,長拡散符号を用いたスペクトラム拡散(SS)を用いて,高い拡散利得の確保と数100万に及ぶ多数のユーザ収容を目指すSS-CDMA方式におけるタイミングジッタの影響について検討を行った.限られた送信電力で,端末とQZS間で直接通信を行うためにSSは非常に有効であるが,多重ユーザ数が大きくなることからユーザ間の符号直交を確保することが重要となる.本稿では全端末がQZSSの測位信号により時間・周波数領域で同期する送信タイミング制御方式を提案し,各ユーザに巡回シフトした直交M系列を割当てた場合の伝送特性について,計算機シミュレーションによる評価を行った.その結果,1チップシフトの符号をユーザに割り当てるフルロードに近い条件(1024拡散,1000ユーザ多重)において,タイミングジッタ量を1/8チップ以下に抑えれば,特性劣化を0.5dB以下とできることを明らかにした.