著者
三島 義之 石原 俊治
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.116, no.7, pp.560-569, 2019-07-10 (Released:2019-07-10)
参考文献数
86

過敏性腸症候群(IBS)患者の一部には,腸管粘膜局所に顕微鏡的な微弱炎症を有し,腸管免疫の持続的な賦活化を認める.その粘膜持続炎症がIBSの病態に密接に関与していると考えられるが,そこに存在する詳細なメカニズムに不明な点が多い.そこで今回,IBSで腸管粘膜の微弱炎症の持続がなぜおこるのか,粘膜炎症がどのようにして腸管知覚過敏/機能異常を生じるのか,粘膜炎症に対する抗炎症治療がPI-IBS治療となり得るのかに着目し,文献的考察を行った.今後は,新たな粘膜炎症に焦点を当てた検査法,治療法の確立を目指して,現行治療に難渋しているIBS患者へのbreakthroughとなることを期待したい.