著者
大内 祥平 荻山 秀治 筒井 秀作 那須 文香 瀬戸 華世 堀木 優志 佐野村 珠奈 今中 和穗 村山 洋子 飯石 浩康
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.116, no.4, pp.330-335, 2019-04-10 (Released:2019-04-10)
参考文献数
10

44歳男性.大腸内視鏡の前処置薬ニフレックⓇの内服直後にアナフィラキシーショックを発症,エピネフリン投与を行い症状は改善した.ニフレックⓇとニフレックⓇに含まれるマクロゴール4000を用いたプリックテストを行い,陽性反応を得たためマクロゴール4000によるアナフィラキシーショックと診断した.マクロゴールを含有する経口腸管洗浄剤によるアナフィラキシーショックは非常にまれであるが,認識しておく必要がある.
著者
山本 晋一郎 大元 謙治 井手口 清治 山本 亮輔 三井 康裕 島原 将精 井口 泰孝 大海 庸世 高取 敬子
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.91, no.7, pp.1205-1209, 1994 (Released:2008-02-26)
参考文献数
10

こむら返りを伴う肝硬変患者35例にタウリン1日3g,4週間投与を行った.症状の軽快は22例(62.9%)に認められた.8例にタウリン投与前後の血中タウリン濃度を測定した.投与前血中タウリン濃度は54.1±20.7nmol/mlに対し,投与4週後は125.1±59.1nmol/mlと前値の2.3倍となり,有意の増加が認められた.血中タウリン濃度の増加に伴い症状は軽快し,両者の間に一定の相関が示唆された.こむら返りを伴わない肝硬変10例における血中タウリン濃度は81.0±16.7nmol/mlと,こむら返りを伴う肝硬変患者に比して有意の高値を示した.タウリン投与後経時的に血中タウリン濃度を測定しえた例で,血中タウリン濃度は投与1週目にピークを示し,投与中前値の2~5倍の濃度に保たれていた.
著者
浜本 哲郎 大谷 正史 松本 栄二 堀 立明 鶴原 一郎 八島 一夫 磯本 一
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.114, no.12, pp.2134-2141, 2017-12-05 (Released:2017-12-05)
参考文献数
30

症例は42歳,男性.禁煙後に血便が出現し潰瘍性大腸炎と診断された.5-ASA,プレドニゾロンの投与で寛解導入したが減量にともなって再燃し,強力静注療法,白血球除去療法,抗TNF-α製剤,タクロリムスなどで加療したが,寛解導入できなかった.ところが,喫煙の再開で血便は消失し,内視鏡的にも粘膜治癒を確認した.禁煙後に発症し,喫煙の再開で寛解に至ったことから,ニコチンや一酸化炭素を介した抗炎症作用が考えられた.
著者
近藤 哲
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.107, no.7, pp.1096-1101, 2010 (Released:2010-07-05)
参考文献数
22
被引用文献数
1

肝門部胆管癌に対する手術術式は,約30年前黎明期の胆管ボーリング手術,約20年前の肝区域切除・尾状葉切除の導入,約10年前の肝葉切除による標準化,最近の癌手術の原点に戻ったen bloc手術と進化を遂げてきている.それにともない手術成績も向上してきており,胆管癌全体の5年生存率は胆道癌全国登録調査2002年報告では26%であったのが,2009年報告では33%にまで改善されている.国際的にみても日本の専門施設では手術死亡率が5%未満であるのに対し,残念ながら欧米からの報告では5~10%以上の死亡率が依然として続いている.胆道ドレナージ,門脈塞栓術などのきめ細やかな周術期管理の有用性を高いレベルのエビデンスとして発信することがのぞまれる.
著者
岡 明彦 天野 祐二 内田 靖 香川 幸司 高取 健人 北嶋 直人 園山 浩紀 多田 育賢 楠 龍策 福庭 暢彦 大嶋 直樹 森山 一郎 結城 崇史 川島 耕作 石原 俊治 木下 芳一
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.110, no.10, pp.1804-1813, 2013 (Released:2013-10-07)
参考文献数
30
被引用文献数
1

保存的加療にて軽快した餅による消化管障害(イレウス,潰瘍)の8例を報告した.既報を含めた検討では,餅による消化管障害には,次のような特徴がある.(1)イレウス,穿孔,潰瘍がある.(2)50~60歳代の男性に多く,義歯や早食いが誘因となる.(3)発症数は10月から増え1月に最も集中.(4)イレウスでは腹膜刺激症状,穿孔をともないやすい.(5)硬くなった餅はスネアで破砕可能.(6)餅のCT像は「均一」な「高濃度」であり,CT値は145HU前後である.
著者
安藤 朗
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.112, no.11, pp.1939-1946, 2015-11-05 (Released:2015-11-05)
参考文献数
26

ヒトは進化の段階で4つの門に属する細菌を選択し,腸内細菌として備えている.腸内細菌はヒトには備わっていない機能を通してヒトの生命維持に重要な役割をはたしている.われわれは,腸内細菌が食物繊維を分解して生じる短鎖脂肪酸(酢酸,プロピオン酸,酪酸)を利用してエネルギーホメオスタシスを維持している.一方,ヒトは腸内細菌と共生するために,複雑かつ巧妙に制御された免疫機構を発達させてきた.われわれのからだはヒトと細菌からなる超生命体と呼ばれるが,分子生物学的解析法の進歩によりヒトと腸内細菌の共生関係の詳細が明らかにされつつある.今回の特集に当たり,腸内細菌とその機能について概説する.
著者
横山 顕 大森 泰
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.110, no.10, pp.1745-1752, 2013 (Released:2013-10-07)
参考文献数
36
被引用文献数
1

飲酒,喫煙,野菜果物不足,やせ,頭頸部癌既往,アルコール脱水素酵素1B(ADH1B)低活性型とアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)ヘテロ欠損型は,食道癌の危険因子である.多発ヨード不染帯,メラノーシス,MCV増大もリスクを高める.ALDH2欠損でアセトアルデヒドが蓄積し,ADH1B低活性でエタノールへ長時間曝露される.両遺伝子型+飲酒+喫煙で357倍のリスクとなる.ビールコップ1杯で赤くなるか,現在と過去の体質をたずねる簡易フラッシング質問紙法は,精度90%でALDH2欠損を判別し,飲酒・喫煙・食習慣と組み合わせた食道癌リスク検診問診票の高スコア群の癌の頻度は高い.予防の新戦略となる遺伝子解析の普及が望まれる.
著者
川西 幸貴 森畠 康策 加藤 順 村田 顕也 深津 和弘 玉置 秀彦 伊藤 大策 和田 有紀 一瀬 雅夫
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.112, no.1, pp.62-69, 2015-01-05 (Released:2015-01-05)
参考文献数
30

症例は37歳女性.腹痛を主訴に入院,前医で特発性の慢性偽性腸閉塞症と診断されたが,当院での精査の結果,抗gAChR抗体陽性の自己免疫性自律神経節障害が原因疾患であると疑われた.コリンエステラーゼ阻害薬やステロイド,免疫調節薬の使用,単純血漿交換や二重膜濾過血漿交換,胃・腸管の減圧目的で胃瘻および腸瘻を内視鏡的に造設,大量免疫グロブリン療法とさまざまな治療を行ったが,治療抵抗性であった.
著者
大竹 孝明 高後 裕
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.109, no.9, pp.1535-1540, 2012 (Released:2012-09-05)
参考文献数
13

アルコール性肝障害の病態はエタノール代謝による肝細胞の生化学的変化から代謝異常を呈し,肝脂肪化,酸化ストレス,脂質過酸化がおきて発症,進行する.本稿では慢性飲酒にともなう脂質代謝を中心とした代謝異常,酸化ストレスの発現メカニズムを概説し,さらに酸化ストレスを促進する環境因子である食餌内容と病態との関連,肝障害に対する飲酒とメタボリック症候群との相加・相乗効果に関して述べる.
著者
横山 顕礼 大楽 尚弘 池谷 伸一 新井谷 睦美 浅野 重之
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.105, no.8, pp.1205-1212, 2008 (Released:2008-08-05)
参考文献数
25
被引用文献数
1

症例は61歳男性.18歳から統合失調症があり多剤向精神薬を長期常用し,呑気症および難治性便秘をともなっていた.著明な腹部膨満をともなう急性腹症にて当院に搬送されたが治療に反応なく死亡した.剖検にて腸管壊死をともなわない胃を含む全腸管の著明な拡張が認められた.向精神薬,下剤の長期常用,呑気症,統合失調症が関連して2次性偽性腸閉塞をきたし,腹部コンパートメント症候群を発症したものと考えられた.
著者
原田 岳 坂口 孝宣 稲葉 圭介 中村 利夫 倉地 清隆 深澤 貴子 中村 光一 沢柳 智樹 原 竜平 井田 勝也 今野 弘之
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.107, no.3, pp.432-441, 2010 (Released:2010-03-05)
参考文献数
30
被引用文献数
1

症例は70歳男性.肝門部とドーム下に肝腫瘍を指摘され受診された.門脈腫瘍塞栓をともなうStage IVの肝細胞癌と診断し,近医経過観察の方針となった.その後は症状の増悪なく経過し,初診から28カ月後の画像診断で腫瘍は著明に縮小していた.退縮に関わる因子として,門脈腫瘍塞栓による腫瘍血流の減少と,イミダプリル,補中益気湯の抗腫瘍効果が考えられた.肝細胞癌の自然退縮症例はまれであり,文献的考察を含め報告する.
著者
佐々木 義楼
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.37-49, 1971 (Released:2007-12-26)
参考文献数
28

日本人 (成人) に多い乳糖不耐症の原因を究明する目的で, (1) 牛乳摂取状況アンケート, (2) 種々の乳糖負荷試験, (3) 生検による小腸粘膜の光顕, 電顕的観察と disaccharidase 小腸活性測定, (4) 動物実験 (1) 生後における小腸 disaccharidase の消長, 2) 量別および年令別乳糖強化食飼育実験, 3) 乳糖分解酵素剤投与の小腸 lactase への影響) を行なつた. その結果, 成人の小腸 lactase 活性は正常健康者で欧米白人の約1/4と低く, 加令による低下もみられた. また, 動物実験で, 乳糖による小腸 lactase の基質誘導が年令と関係なく可能であることが証明された.日本人の小腸 lactase 活性の低下は, 乳糖摂取の寡量に主因があると結論した.
著者
米田 諭 小林 洋三 布居 剛洋 竹田 幸祐 松森 篤史 安藤 稔 辻之上 裕久 西村 公男 福井 博
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.103, no.11, pp.1270-1273, 2006 (Released:2006-11-06)
参考文献数
15
被引用文献数
1

症例は28歳女性.近医でインフルエンザBにてリン酸オセルタミビルなどを処方され,翌日夜間より下腹部痛,下痢,血便が出現し当院を受診.大腸内視鏡検査で横行結腸左半部に全周性にわたる表層の出血,びらんを認めた.内服薬中止にて症状,内視鏡所見の治癒を認めた.薬剤リンパ球幼若化試験でリン酸オセルタミビルのみ陽性であった.本症例はリン酸オセルタミビルが誘因と考えられた急性出血性腸炎第1例目であり報告した.
著者
鈴木 悠平 山崎 勇一 橋爪 洋明 大山 達也 堀口 昇男 佐藤 賢 柿崎 暁 山田 正信
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.112, no.1, pp.108-114, 2015-01-05 (Released:2015-01-05)
参考文献数
20

症例は70歳,女性.末梢の冷感,痺れに対してサプリメント(金時しょうが®)の内服を開始.内服2カ月後より上腹部違和感,食欲低下,褐色尿などの症状が出現.内服中止するも改善せず,中止12日後に当院紹介受診.黄疸,肝機能障害を認め入院.精査の結果,金時しょうが®による薬物性肝障害と診断.保存的治療により改善,第25病日退院となった.退院前に施行した肝生検では薬物性肝障害に矛盾しない組織所見であった.
著者
桶谷 眞 坪内 博仁
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.107, no.9, pp.1426-1433, 2010 (Released:2010-09-06)
参考文献数
33

近年,強力な免疫抑制・化学療法の普及によりB型肝炎ウイルスの再増殖によるHBV再活性化肝炎が増加している.また,従来から知られている非活動性キャリアからの再活性化に加え,既往感染者からの再活性化の報告が増え,de novo B型肝炎とよばれている.de novo B型肝炎は劇症化率が高く,劇症化例の予後は極めて不良である.HBV再活性化対策では免疫抑制・化学療法前にHBVキャリアだけでなく,既往感染者をスクリーニングすることが重要である.前者は治療開始前に,後者は治療中または治療終了後にHBV DNAが陽転化した時点で速やかに核酸アナログ製剤を使用する必要がある.
著者
堀江 義則 海老沼 浩利 金井 隆典
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.112, no.9, pp.1630-1640, 2015-09-05 (Released:2015-09-05)
参考文献数
60
被引用文献数
4

本邦におけるアルコール性肝硬変(Al-LC)の全国調査では,近年はアルコール消費量は漸減しているにもかかわらず,Al-LCの肝硬変の成因に占める割合は急速に増加している.糖尿病(DM),高齢,女性はAl-LCの危険因子であり,DM,年齢,男性はAl-LCからの肝発癌の危険因子と考えられる.重症アルコール性肝炎(AH)は禁酒後も肝腫大が持続する病態で,消化管出血,腎不全などの合併症をともなう予後不良な疾患である.重症AHの死亡率は52%と高いが,中等度AHにおいても死亡率は15%あり,早期からの治療介入が必要である.アルコール健康障害対策基本法に基づいた社会全体での飲酒量低減の取り組みが必要である.
著者
萩原 信敏 松谷 毅 野村 務 藤田 逸郎 金沢 義一 櫻澤 信行 宮下 正夫 内田 英二
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.111, no.3, pp.512-520, 2014 (Released:2014-03-05)
参考文献数
31

食道癌術後長期生存例の増加にともない,再建胃管癌例も増えている.今回,年代別で胃管癌の臨床病理学的項目,治療,予後などの変化について,当科の胃管癌9例と本邦報告156例を集計した165例において3期に分けて検討した.臨床病理学的検討では,発生部位は胃管下部に多く,組織型は7割が管状腺癌であり,年代で有意な差は認めなかった.内視鏡検査での発見症例が最近10年では7割を占め,早期発見例も年々増加していた.2003年以前に内視鏡治療を行った症例は20%であったが,最近10年では約40%まで増加し予後も改善傾向を示した.胃管癌の特徴を理解し,定期的な検査で早期発見することで,さらなる予後の改善につながると考えられた.
著者
岩崎 栄典 瀧田 麻衣子 岸野 竜平 泉谷 幹子 中澤 敦 塚田 信廣
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.110, no.9, pp.1657-1662, 2013 (Released:2013-09-05)
参考文献数
13

症例は42歳の男性.四肢の皮疹,全身倦怠感にて,当院へ紹介入院となった.皮疹と経過からB型急性肝炎に合併したGianotti-Crosti症候群の診断となった.皮疹は1週間で消退し,エンテカビルを投与することで急性肝炎は慢性化せずに治癒した.成人でのGianotti-Crosti症候群の報告はまれであるが,四肢より進展する皮疹を認めた場合は,当症候群を念頭に置く必要がある.