著者
三戸 克彦 山形 英司 山上 由理子 一宮 朋来 山崎 透 平松 和史 永井 寛之 那須 勝
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.22, no.7, pp.547-552, 2000
参考文献数
20

近年, 血清KL-6, SP-A, SP-D値は間質性肺炎の活動性の有用な指標として報告されている。今回全肺洗浄前後のモニタリングに血清KL-6, SP-A, SP-D値を用いた肺胞蛋白症の1例を報告する。症例は労作時息切れで入院した67歳の女性で, 胸部X線写真上両中下肺野に非区域性の浸潤影が認められた。胸部CTでは非区域性に広がるスリガラス様陰影と小葉間隔壁の肥厚が見られ, peripheral clear zoneが認められた。気管支肺胞洗浄と経気管支肺生検により肺胞蛋白症と診断し, 全肺洗浄が施行された。全肺洗浄後, 症状, 血液ガス, 胸部X線写真の改善とともに血清KL-6値は減少したが, SP-A, SP-D値は一過性に上昇し, その後低下した。血清KL-6, SP-A, SP-D値は病勢と一致しており, 肺胞蛋白症において有用な活動性のマーカーになりうると考えられた。