著者
三木 珠美 大岩 美樹
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.56-63, 2018 (Released:2018-10-12)
参考文献数
30

目的:がん化学療法誘因性末梢神経障害への効果的な運動療法について,文献から検討を行い,示唆を得ることである.方法:医学中央雑誌とPubMedを用い過去5年間の原著論文で,末梢神経障害に対する運動療法に限定し検索を行った.結果:対象文献は20件であり,糖尿病性末梢神経障害の文献が多くそれ以外は少数であった.運動は有酸素運動,レジスタンス運動,感覚運動が主であり,専門家による管理にて安全面への配慮がされていた.運動療法前後での比較では,全ての研究においてバランス力や歩行力に有意な改善を認めたが,群間比較による有意な改善は必ずしも明確ではなかった.結論:運動療法前後の比較から,がん化学療法誘因性末梢神経障害への運動療法の試験的導入は,神経症状やバランス力の改善に期待できるものと考える.運動内容は単独より複合的な運動プログラムにて,医療者の管理のもと軽度から始め中等度の負荷で維持することが適切と考える.