著者
米森 敦也 近江 亮 二瓶 和喜 真木 健裕 金古 裕之 三栖 賢次郎
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.729-734, 2013 (Released:2013-09-25)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

症例は75歳,男性.腹痛,発熱にて救急搬送.急性虫垂炎による回盲部膿瘍の診断で当科入院.保存的加療で経過観察としたが,膿瘍が増大したため,13病日に膿瘍穿刺ドレナージ施行し,28病日に退院となった.その後の大腸内視鏡検査にて,虫垂開口部に突出する腫瘍が認められた.生検で管状腺腫の診断となり,腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.虫垂内に15×10mmの有茎性腫瘍を認め,病理組織検査にて虫垂管状腺腫と診断された.術後に臍部創感染と後腹膜気腫がみられたが,保存的加療で軽快し,術後30日目に退院となった.虫垂原発の良性腺腫は非常にまれな疾患であるが,術前診断できれば腹腔鏡下手術の良い適応である.