著者
永井 愛子 小川 恵子 三浦 淳也 小林 健
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.108-114, 2014 (Released:2014-10-17)
参考文献数
42
被引用文献数
1 1

放射線治療装置や技術の発展にも関わらず有害事象である腸炎や口内炎は存在する。半夏瀉心湯は腸炎や口内炎に対する効果が報告されている。放射線による腸炎や口内炎に対する半夏瀉心湯の有効例を経験したので報告する。腸炎3例,口内炎5例の計8例に対して症状出現後1-35日に半夏瀉心湯7.5g/日または18錠/日(適宜漸減)を投与した。腸炎と口内炎の重症度は内服前後でCommon Terminology Criteria for Adverse Events と Numerical Rating Scale で評価した。口内炎5例中,改善,不変,増悪は各々3例,1例,1例,腸炎3例中では各々2例,1例,0例であり,増悪はなかった。放射線治療中の腸炎や口内炎などの早期有害事象を制御することは患者の負担軽減のみならず腫瘍制御率改善にもつながる。今後より多くの患者に対するランダム化比較試験の報告が望まれる。