著者
古賀 義之 吉田 教明 三牧 尚史 小林 和英
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic waves : journal of the Japanese Orthodontic Society : 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13440241)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.318-324, 1999
被引用文献数
4

ワイヤー装着時に歯に作用する複雑な力系に関し, 臨床的な測定法の確立が望まれる.本研究では, 2つのブラケットとその間のワイヤーのような, 線材の両端の回転が, 二次元上で拘束されるような力系について解析した.その力系の理論的な算出には, 線材の曲げ剛性と曲げモーメントの比で表されるオイラーの微分方程式を解くことにより行った.また, 得られた理論式より, 線材両端の回転が拘束される複雑な力系と, 一端だけが拘束される単純な力系を比較することにより, 臨床上有効な矯正力の計測について検討した.その結果, 以下の結論が得られた.1. ブラケット等に加わるモーメントおよび力は, 線材が直線の場合, ブラケットの傾斜角の関数として表すことができる.モーメントに対するブラケットの傾斜角の影響は, 同側の傾斜角が反対側より2倍大きく, 力に対する傾斜角の影響は両側で等しい.2. 傾斜したブラケット等に直線のワイヤーを挿入した時の変形は, ワイヤーのサイズ, 断面形態, 材質によらず同じ形となり, その変形は三次曲線で表すことができる.3. ブラケットにワイヤーを挿入するような場合, 片側のみのブラケットが傾斜している条件では, ワイヤーの性状に関わらず臨床的に力系計測が可能で, 傾斜していない側のアタッチメントがブラケットの場合とリンガルボタンの場合では, 前者の垂直力が2倍大きくなる.