著者
三田 礼子 山名 順子 近藤 盛彦
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.548-551, 2015 (Released:2015-09-30)
参考文献数
23

パクリタキセル(以下,PTX)による末梢神経障害にラフチジンとトコフェロールニコチン酸エステル(以下,TN)の併用が著効した例を報告する.【症例】72歳男性,左上葉肺腺癌,肝転移と診断されたがPTX投与後に四肢のビリビリした痺れによる歩行困難を来たしたため化学療法は中止となり,転院となった.痺れはTN300mg/日では無効であったが,ラフチジン20mg/日の併用により急速に改善した.痺れはTNの減量で増悪したが,再度300mg/日への増量で改善し屋外歩行も可能となった.【考察】PTXによる末梢神経障害に対しTNとラフチジンの併用が有効であった.末梢神経の再生速度が緩徐であるのに対して薬剤量の変更で痺れが速やかに変化する点から痺れの改善はTNの微小循環改善作用とラフチジンのカプサイシン感受性知覚神経を介した血流増加および脱感作による効果と考えられた.