著者
三股 歩夢 荒井 幸代
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020)
巻号頁・発行日
pp.2J6GS203, 2020 (Released:2020-06-19)

近年,監視カメラの普及が進み,幅広い分野における行動記録の活用が期待されている.その中でも行動履歴からの不審行動の検出は防犯やトラブル防止に重要である.しかし,監視者による検出は,その膨大な作業量はもちろん,経験に負う部分が大きいため,高精度な自動検出法への要請は大きい.自動不審行動検出の既存法は出現確率の低い行動を不審行動とみなすが,これでは実際は不審ではないが出現確率が低い行動が不審行動として誤検出され問題である.これを踏まえ,本研究は不審行動のデータ不要,リアルタイム検出可能,かつ既存法よりも高精度な自動不審行動検出の実現を目的とする.本研究は,多くの人がもつ「一般的な」意図に沿わない行動を不審行動とする.行動軌跡から報酬を推定可能な逆強化学習により人物動線データから導出される行動価値には,動線に潜在する意図が定量的に反映されるとして,導出された行動価値をもとに行動の不審さを評価する.擬似動線データにより実験した結果,既存法が誤評価する行動に対しても提案法は正確に評価可能であることを確認した.また,四つの指標により評価したところ,提案法は高い性能を示し有用なことを確認した.