著者
三藤 萬衛
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.20, no.7, pp.720-736, 1917-07-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
2

タンニン酸、没食子酸及び焦性没食子酸は同一の原料より系統的に製造せらるゝものにして之れが最良の原料たる五倍子は日本並に支那に於て最も豊富にして産量も亦僅少にあらざるのみならず容易に増加せしめ得べし又以上の三製品は多くの用途の外染料及び醫藥の原料たるを得るが故に是等の製造試驗は誠に興味あるものなるべし然るに我國に於ては原料産出に就きては相當の注意を拂はれたるも製造に關しては只大阪衛生試驗所臨時製藥調査所に於ける研究が大正五年二月四日並に大正五年九月六日の官報にて發表せられ居るに過ぎず故に余は此の問題に就きて少しく試驗し稍見る可き結果を擧げ得たれば以下項を遂ふて其の概略を報告せんとす