- 著者
-
上出 惠子
- 出版者
- 九州産業大学 人間科学会
- 雑誌
- 人間科学 (ISSN:24344753)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, pp.29-35, 2020 (Released:2020-03-27)
- 参考文献数
- 40
子ども文化の中でも,日本の子どもの歌は多種多様で,その豊かさには目を瞠るものがある。それは,かつて近代化を急ぐ日本において導入された西洋音楽と従来の日本の伝統音楽とのせめぎ合いの中で唱歌や童謡が生まれ,さらにはレコードから始まり,ラジオやテレビ,また最近ではゲーム,ネットなどの各種メディアの目覚ましい普及に伴い,子どもの歌が量産されてきたからである。このような多種多様な子どもの歌の混在は日本独自のものとも考えられるが,だからと言って野放図なままに量産と消費を繰り返すだけでことは済まないであろう。とくに保育の場にあって子どもの歌は,発達にも関わり重要である。本稿は,唱歌の成立に関わったとされる賛美歌に着目し,「子ども賛美歌」を視座に子どもの歌とは何か,さらには子どもたちにとって歌とは何かについて改めて問うものである。