著者
上山 憲一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.346-349, 1998-06-20 (Released:2017-07-11)

アミノ酸や核酸の原料となるアンモニアは, 窒素固定菌による窒素分子の還元反応によってつくられる。ニトロゲナーゼと呼ばれる酵素が, 電子, プロトンとATPなどの還元剤を使って, この反応の触媒として働く。ニトロゲナーゼの反応中心はMoとFe原子を含む蛋白質で, それぞれの金属イオンは無機硫黄でつながったクラスターを形成している。このクラスターは空気に極めて不安定であり, この性質が, 遺伝子操作で効率の良い作物をつくるという重要課題を解決するときの障壁になっている。