著者
江口 壽彦 大久保 敬 藤枝 國光 上本 俊平
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.803-814, 1991 (Released:2007-07-05)
参考文献数
15
被引用文献数
2

Camellia japonica L. 種内における亜種•変種の遺伝的相違を計るために分布全域にわたる12地区について8種類の酵素系のアイソザイム分析を行った.全12地区間における遺伝的同一性の平均は0.77で, 他の他家受粉植物の種内における値に比較すると低かった. これは ssp. rusticana が ssp. japonica とは非常に異なる遺伝的変異を有するためと考えられる. 一方, japonica に属する var. hozanensis と var. japonica の間にはわずかな違いしか認められず, 電気泳動的特徴から var. hozanensis は var. japonica からの派生型に当たると推察された. 他のツバキ属植物との比較から次の二つの可能性が示唆された. 1). ssp. rusticana はvar. hozanensis および var. japonica より非常に早い時期に生じた. 2). var. hozanensis および var. japonicaはカメリア節と他節との浸透交雑によって生じた.