- 著者
-
上杉 忠孝
田中 恵信
- 出版者
- 社団法人日本気象学会
- 雑誌
- 天気 (ISSN:05460921)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, no.1, pp.23-36, 2008-01-31
- 被引用文献数
-
2
2000年7月4日,東京都心を中心に東京大手町で時間雨量82.5mm,新木場で104.0mmという短時間強雨(1時間雨量が警報基準を超えているため短時間強雨とした)があった.この強雨のプロセスを羽田,成田両空港のドップラー気象レーダーのデータと,アメダス,東京都の大気汚染常時監視測定局等のデータを使用して解析した.短時間強雨発生のプロセスは次のように考えられる.まず鹿島灘・九十九里浜方面からと相模湾・東京湾方面からの2つの海風とが収束して降水エコーが発生・発達した.この降水エコーが東京都・神奈川県境付近で発生した降水エコーとマージを2回起こし,新木場付近で強雨をもたらした.さらに大手町付近における18時30分の強雨は,中部山岳で発生し,南東進したメソβスケールの降水系が衰弱しエコー強度が30dBZ以下になって生じた外出流が,新木場付近に強雨を起こした降水セルからの外出流と収束して,降水セルを強化したことによって起きたことがわかった.