著者
上田 守厚
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.19, no.12, pp.507-512, 2019 (Released:2019-12-06)
参考文献数
7
被引用文献数
2

近赤外分光法は,電磁波である近赤外光を未粉砕の固体・粉体や液体試料に照射し,その吸収を測定・解析することにより,定性または定量分析を行う方法である。近赤外分光法は試薬等の化学物質を必要とせず,前処理なく非破壊・非侵襲で迅速・簡単に同時多項目分析ができる利点がある。したがって原料や製品の品質管理,工程管理に重要な分析ツールとなりうる。さらに近赤外分光法は,装置をライン上(例:ベルトコンベア上)に設置するか,ラインに設置したセンサから光ファイバーケーブルを使用して反射・透過光を得ることにより,インライン・オンライン分析にも利用されている。本稿では品質管理で利用されているフーリエ変換型近赤外分析計(FT-NIR)による油脂の迅速分析について,海外の公定法の内容を交えて紹介する。