著者
上白木 悦子
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.16-29, 2018

<p>緩和ケア・終末期医療の医療ソーシャルワーカー(MSW)の役割遂行の構造に関連する要因と因果関係性を明らかにするために,がん診療拠点病院などのMSW 1,134人を対象に質問紙調査を実施した(回収率37.1%).本研究では,コンピテンシー,コーピング,死に対する態度,職場・職業への適応感は相互に影響し合いながらMSWの役割遂行を規定するという多重指標モデルを作成した.共分散構造分析の結果,有意な推定値が得られ,適合度はGFI=.920,AGFI=.898,RMSEA=.060でありモデルは妥当であると評価した.緩和ケア・終末期医療のMSWの役割遂行の構造(情報共有,ソーシャルワーク実践,代弁,意思決定支援,精神的支援)が本調査により明らかとなり,関連要因を含む仮説は支持された.これら現状の向上・改善は,医療・ケアチームにおけるMSWの至適な役割遂行につながることが示唆された.</p>