著者
今村 幸久 黒木 尚 野崎 克弘 白木 己歳 上米良 壽誕
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.32-37, 2011 (Released:2012-03-21)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

焼酎粕加工液の土壌病害抑止効果について,メロンつる割病等の Fusarium 病に絞って,主に土の生物的視点からメカニズム解明のためのポット試験を行った。その結果,抑止効果には焼酎粕加工液の成分の病原菌に対する直接的な影響ではなく,土の中に存在する微生物の関与が推測された。加工液を潅注処理すると土壌の微生物活性が高まるが,微生物活性値と土壌の生菌数および発病抑止効果にはある程度の関連性があることが示唆された。以上の結果から抑止効果のメカニズムの一つは,処理した焼酎粕加工液を増殖源として,ほ場に元々生息する土壌微生物が増殖し,病原菌との競合およびその他の総合的な作用が働くことにより,発病が抑えられると推察された。